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印刷やデザイン、アドビ製アプリやスクリプトなど、雑多な技術ブログ

『+DESIGNING』vol.57に寄稿しました

今月27日発売予定の『+DESIGNING』vol.57掲載の「ラクラボ。」にまた寄稿させてもらいました。

www.plus-designing.jp

今号は、全体としてはクリエイティブ分野におけるAIとの付き合い方みたいな内容みたいですね。僕も非常に楽しみにしています。
一方、僕が書いたコラムは「自動化のための社内の歩きかた」と題して、社内にスクリプトなどの自動化ツールを導入・運用するためのノウハウみたいな内容です。

執筆依頼をいただいたタイミングがよかった

僕自身がそんな内容の記事を書いたところで、どれほど有益な情報になるのか不安もありました。何しろ部署や会社を預かるような立場で働いているわけではありませんでしたし、人より多少スクリプトを書ける程度です。
ただ、小規模(20名前後)なメンバー間でスクリプトを利用しながら、効率と品質担保を追い求めようという活動をしてきた経験から得られたノウハウなどは伝えられると思いました。3月末で離職する都合、残るメンバーにスクリプト周りのあれこれを引き継いでいくというタイミングも重なり、自分の知識の棚卸しも兼ねて執筆することができました。

記事に書いていない前提の話

スクリプトを書ける人、プラグインやエクステンションを自分で作れる人は、自分で課題を見つけ、解決する手段を構築し、具体的に形にすることができます。そのような人が会社にいたら、会社は周りの「スクリプトが書けない、プラグインやエクステンションが作れない人」にもそれらを使ってもらい、全体の効率化を図りたいと考えるのは当然です。この状況を具体的に想像できるでしょうか? なんか面倒なことになりそうだな、という予感がしませんか?

結局のところ人対人になるので、作る人(たち)と使う人(たち)との関係性、作る人(たち)と会社(上司)との関係性がとても大事になってくるのですが、「仲良くしましょう」なんて書いても野暮なので、最低限協力関係にあることを前提に、自動化ツールを運用するためのしくみ的なことについてフォーカスして書いています。

書きながら学べたこと

自分の思想的な部分と、実際の経験と、それらを組み合わせてどういう形が「自動化が根付いた会社・組織」として理想的な形なのか、ということを想像しながら書きました。
その中で、スクリプトなどの自動化ツールを作る前段階の技術について、やっと言語化できたところがあります。

詳しくは記事を読んでいただきたいのですが、例えば、スクリプトを作りたい・作ってほしいという段階で、どんなスクリプトが欲しいかを具体的にイメージするにはコツがいります。葬送のフリーレンの魔法の話じゃないけど、具体的にイメージできなかったところは機械的なスクリプト処理においてはファジーな要素となり、どう処理すべきか開発者は悩まされます。
例えば、Aという文字列をBという文字列に置き換えたいとしたら、そのAはドキュメントに現れるすべてのAを対象にしてもいいのか、親ページは含むのか、ロックされたレイヤーやストーリー内も対象とするか、というような細かな部分まで事前に決めるには知識と経験が必要です。これがいわゆる「仕様」とか「要件」になるわけですが、それが具体的であればあるほど、精度の高いものができあがります。

このイメージ力こそスクリプトなどの自動化ツールを作る前段階の技術です。それを下支えするのがアプリケーションの知識とスクリプトの知識ですね。
それらがなくても「こんなスクリプトが欲しい」と思い描くことはできますが、曖昧な仕様のままスクリプトを作ったり発注したりしてしまい、後で余計な修正やコストが発生する可能性があります。

こうした、スクリプトを作る上であまり意識しないでやってきたことを、ちゃんと言語化・図解化できたことは、今回の記事執筆で自分なりに考えて学べた結果だと思います。

楽しんでください!

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